社会保険の被保険者となれる人は次のとおりです。
社会保険の適用をうけている事業所の正社員及びパートタイマー等で、
1)労働時間が一般社員のおおむね4分の3以上かつ
2)労働日数が一般社員のおおむね4分の3以上である人
※ただし次の「適用除外」に該当する場合を除きます。
次に掲げる人は、適用事業に使用されていても、適用除外され、健康保険・厚生年金保険の被保険者となることはできません。
次に該当する場合は厚生年金保険に加入できません。
* 共済組合の組合員
* 私立学校教職員共済制度の加入者
* 臨時に2か月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人
* 臨時に日々雇用される人で1か月を超えない人
* 季節的業務に4か月を超えない期間使用される予定の人
* 臨時的事業の事業所に6か月を越えない期間使用される予定の人
* 所在地が一定しない事業所に使用される者
被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬月額を、区切りのよい幅で区分したもので、健康保険の場合は1等級(58,000円)から39等級(1,210,000円)に区分されていています。
厚生年金保険の場合は1等級(98,000円)から30等級(620,000円)に区分されていています。時間外手当等の状況によって、毎月の給与に多少変動があっても、
標準報酬月額が変わらない限り健康保険の保険料額は変わりません。
標準報酬月額の決定方法には次の4つがあります。
@ 資格取得時決定
入社し、被保険者となったときに入社後に受け取る報酬をもとに標準報酬月額を決定します。この資格取得時に決定された標準報酬月額は、取得日が1月から5月までの場合はその年の8月まで、6月から12月に取得した場合は翌年の8月まで適用されます。ただしBの随時改定が行われる場合を除きます。
A 定時決定
毎年1回7月1日現在に在籍する被保険者全員を対象に、4、5、6月の報酬をもとに標準報酬月額を見直し、再決定します。ここで決定した標準報酬月額は、Bの随時改定に該当しない限り、原則として9月1日から翌年8月31日の間で適用されます。
B 育児休業等終了時改定があります。
C 随時改定
会社によっては給与の定期昇給が10月頃にあったり、人事異動によって、昇給・昇格(または降給・降格)があり、給与額が大幅に変動したような場合に、1年1回の見直しでは実情に合わなくなってきますので、実情に合った標準報酬月額とするための手続として「報酬月額変更届」随時改定)という制度があります。
昇給、降給などで固定的給与の額に変動が生じ、標準報酬月額に2等級以上の差が出た場合に標準報酬月額を改定します。ここで改定された標準報酬月額は、改定月が1月から6月までの場合はその年の8月まで、7月から12月までの場合は翌年の8月まで適用されます。
2等級以上の差とは現在の標準報酬月額が健康保険標準報酬等級表の第22級(標準報酬月額30万円)の人が昇給し、継続した3カ月間に受けた報酬総額の平均が第24級(標準報酬月額34万円)以上になったときに、2等級以上の差が生じたことになります。
なお、会社の役員(取締役以上)が昇給・降給等により、標準報酬等級が2等級以上上・下する場合もこの「被保険者報酬月額変更届」の提出が必要ですが下がる場合には、役員報酬の改定を決議した議事録又は給与台帳などの写しが必要です。
標準賞与額を決める場合にそのもととなる賞与は、賃金、給料、俸給、手当、賞与、その他どんな名称であっても、 被保険者が労務の対償として受けるすべてのもののうち年3回以下のものを含みます。 ただし、大入り袋や見舞金のような臨時に受けるものは含まれません。
被保険者期間中において、実際に支給された賞与額から千円未満を切り捨てた額が標準賞与額となり、賞与が支給される月毎に決定されます。
標準賞与額の上限は、健康保険は年間累計額540万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)となり、厚生年金保険については1ヶ月あたり150万円が上限となります。
また、育児休業等により保険料免除期間に支払われた賞与についても標準賞与額として決定し、年間累計額に含まれます。
給与から、社会保険の保険料として控除する金額は 標準報酬月額および標準賞与額に応じて決まり、被保険者(従業員)と会社(事業主)とで折半します。
従業員負担分を給与支給総額から控除することになります。
社会保険料は、次のように求めます。
社会保険料=標準報酬月額(または標準賞与額)×保険料率
※健康保険料率は都道府県・各組合ごとに異なります。
保険料月額を一覧表にした「標準報酬月額及び保険料額表」がありますので、これを使えば簡単に保険料月額を求めることができます。
被保険者資格を取得した月から社会保険料がかかりますが、その月の社会保険料の控除は、翌月の給与支払時に行うことになります。
例えば、入社日が4月1日、会社の給与支払日が毎月20日の場合、
4月分の社会保険料は5月20日に支払われる給与から控除されることになります。
従業員が会社を退職した場合、社会保険の資格喪失日は退職日の翌日となります。
そして資格喪失の日の属する月は社会保険料を徴収しません。
例えば、退職日を5月20日とすると、資格喪失日は5月21日となります。
この場合、5月分の社会保険料は控除されないため、その月に支払う給与から4月分の社会保険料を控除するだけでよいことになります。
(2)において、社会保険の資格喪失日は退職日の翌日と説明しましたが、退職日が月の末日の場合、資格喪失日は翌月の1日となるので退職日の属する月の社会保険料も控除する必要があります。この場合、退職日の属する月の給与支払日から、前月分と当月分の2か月分の社会保険料を控除することができます。
資格取得日と資格喪失日が同じ月の場合は、その1か月分の社会保険料を徴収します。
例えば、入社日が5月1日、退職日が5月20日の場合、5月分の社会保険料を、4月分の給与支払日から
控除することになります。
厚生年金保険では、70歳になると被保険者の資格を喪失することになります。
この場合の資格喪失日は70歳の誕生日の前日となりますので注意が必要です(誕生日の翌日ではありません)。
また、健康保険については70歳になっても被保険者の資格を喪失することはありませんので、
保険料は引き続き控除することになります。
例えば、70歳の誕生日が8月1日の場合、
厚生年金保険の資格喪失日は7月31日となりますので、
7月分の保険料はかかりません、従って、7月分の給与支払日からは、
通常の6月分の保険料を控除し、8月分の給与支払日からは、7月分の健康保険料のみを控除することになります。
介護保険は、寝たきりや痴呆などで介護が必要になればそのサービスが受けられるものです。
介護保険料は、健康保険に加入している40歳以上65歳未満の従業員から徴収します。
介護保険料の被保険者の資格取得日は、40歳の誕生日の前日となります。
取得日の属する月は保険料徴収の対象となりますが、実際に保険料を控除するのは、
翌月の給与支払日からになります。
また、資格喪失日(「第2号被保険者」として)は65歳の誕生日の前日となり、資格喪失日の属する月の保険料はかかりません。つまり、介護保険料の控除は、健康保険料、厚生年金保険料の控除と同様の考え方となります。
又、65歳以上の方は介護保険の「第1号被保険者」となり、
受給する老齢年金から市区町村が保険料を徴収することになります
(年金額が18万円未満の方の場合は徴収されずに、別途個人で納付することになります)。
保険料は被保険者と事業主とが2分の1ずつ負担します。保険料賦課の対象となる期間は、月々に係る保険料と同様です。
※健康保険及び厚生年金保険の保険料は、資格喪失の月については保険料の負担はありません。
したがって、賞与支給前後に退職する場合注意が必要です。
○賞与支給日が6月20日で、6月25日に退職する人(厚生年金保険の資格喪失日は6月26日ですので、
6月分の保険料を負担する必要はありません。6月支給の賞与から、保険料は控除しません。)
○賞与支給日が6月20日で、6月30日に退職する人(健康・厚生年金保険の資格喪失日は7月1日ですので、
6月分の保険料を負担する必要があります。6月支給の賞与から、保険料を控除します。)
○育児休業中は免除される。
6月20日に賞与の支払の場合
6月25日に退職 → 保険料はなし
6月30日に退職 → 保険料あり(7月1日喪失のため)
健康保険の標準報酬月額・標準賞与額
給与から、健康保険の保険料として控除する金額は、 標準報酬月額および標準賞与額に応じて決まり、被保険者と会社とで折半します。
標準賞与額
賞与の金額の1,000円未満の端数を切り捨てた額で、上限は200万円となっています。
健康保険料は、次のように求めます。
健康保険料=標準報酬月額(または標準賞与額)×保険料率
※保険料率は各組合ごとに異なります。
厚生年金保険料は、次のように求めます。
厚生年金保険料=標準報酬月額(または標準賞与額)×保険料率
「賞与支払届総括表」「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」を、賞与の支払日から5日以内に提出
(2)健康保険料、厚生年金保険料の納付
社会保険事所は、翌月の保険料納入告知書で一般の保険料と一緒に通知を行うので、
毎月の一般保険料と合算して、翌月末までに納付します。
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